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 まだ子供でしたころ、わたしは父の書庫にはいって、読める本がないかなぁと、探していたときでした。奇譚クラブとか、風俗草紙とか、ちょっと古びた雑誌が並んでいるのを見つけたのです。一冊を取り出して開いてみると、ああっ、わたしはその雑誌をすぐに閉じてしまいました。変な写真や絵、女の人が裸にされ、縛られている写真、写真のような絵、それから文章では、小説とか挿画があって、なにやらいやらしい。子供が見てはいけないご本なのですね。でも、わたしは、その雑誌たちを、学校からかえってくると、決まってその本たちのなかにはいっていって、空想にふけるのでした。

 それらの日々から数十年経って、インターネットのなかで、それらのご本が収録されているホームページを見つけてしまいました。わたしは、見覚えのある絵、色あせて今風でない写真、それらのイメージがよみがえってきて、情欲すら高ぶってくるしまつでした。小説を書こうと思いました。もうはるか昔の文体、今ならかなりストレートな言葉で、伏字しなくてもいいようにも思えて、書き始めました。こんなわたしの性向を、誰にも話してはいません。ひとりで心に秘めていて、ネット上にブログやホームページを作って、内緒で載せているところです。仮面をかぶったわたし、仮面を剥ぐと、ここにいるわたしが、あらわれてきているのかと思います。

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