えろす噺

アダルト小説と昭和レトロな挿画集です。

2017年06月

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この多良画廊へ来るには、京都、人が行きかう三条通りから木屋町をあがって、人があまり通らない路地、コンクリート剝き出しの階段をあがって三階、木製のドアを開けると濃い茶色基調のアンティークな雰囲気のスペースがあります。そこが多良画廊の第一室です。
広さは八坪、16畳の広さの画廊になっていて、壁面には主に多良健介がコレクションした作品を販売目的で展示しています。この展示スペースは第一室、その奥に同じく八坪、16畳の第二室、ここが噂の羞恥部屋になる空間なのです。羞恥部屋、16畳といっても、バス、トイレ、簡単な調理ができる仕切りがあるから、正味は8畳の広さ、バスルームとトイレスペースが結構広くて、そこでも男と女が、いかがわしいことができるようになっているんです。
「よろしければ、お名前を、教えていただければ、ありがたいです」
「神の子と書いて、みこ、と呼ばれています、大谷神子と申します」
「お年は、女性に、聞いてもいいかな、おいくつなの」
多良健介は緊張した女性の気持ちをほぐすためにも、打ち解けた声で、訊いてあげます。自分の存在を知ってほしいと思う無意識の気持ちを、満たしてあげるために、です。
大谷神子は23才、某有名大学を卒業して出版社に勤めたが、一年三ヶ月、この夏に退職したところだというのです。

大谷神子は23才、一年半勤めた出版社を退職し、羞恥部屋の噂を見聞いて、京都まで新幹線でやってきたところです。多良画廊、展示室の奥に作られている羞恥部屋は、悶々として居場所が見つからない女子のための快楽部屋なのです。ボディーワークは、いくつかのメニューがあって、画廊主多良健介は、女子の要求の難易によって、相手を見つけてあげる、自らが相手になってあげることも、あります。
「はぁああっ、ここ、ですか・・・・」
荷物は画廊のフロアに置いたまま、大谷神子は第二室、羞恥部屋のなかへ、導きいれられたとたんに、くらくらとめまいを感じてしまいます。ダークルーム、フローリングの床、三方が板壁、窓には遮光カーテンが、ぱちんと電燈が点けられて、神子の顔色が、まるで神さまになったような表情にかわってきます。
「ここですよ、羞恥部屋、いかがですか、みこさん」
電燈はアンティークな和風、橙色のLED発色です。八畳の床には、金属の四角い蓋が8か所、蓋の中にはワッパが埋め込まれているのです。天井はというと、黒い鉄の棒が井の字型に組まれていて、真ん中には滑車も取り付けられています。
「ここが、みこさん、恥ずかしさのなかでお悦びになられる、羞恥部屋」
検診台のような格好をした木馬、板でつくられた手枷足枷首枷、縄の束、いえいえ、壁面のテーブルには皮製のトランクが置かれていて、メニューによって収納されてる道具が変えられる。ドアを開いて正面が窓、左側にはバストイレとキッチン、右側の壁面には書棚とテーブル、ドアの横は嵌めたままの大きな鏡、鏡のまえにはシングルベッド。


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「いやぁあ、こんにちは、おひとりですか、どちらから?」
「東京から、のぞみに乗ってきたんです、そのままこちらへ来たんです」
来客は二十歳を少し過ぎたかと思われる美女、店主の多良健介は、その絶世の美女の来訪に、腰を抜かしてしまうほどに、びっくり仰天です。
京都の木屋町三条をあがったところの古びたビルの三階、そこには通のあいだで<羞恥部屋>と呼ばれているスペースがあるんです。
「いやぁ、それはそれは、東京からですか、おひとりで?」
「ひとりです、ホームページを見て、それで・・・・」
ここは画廊でホームページを見て来たという若い女性、あまり化粧っ気がないのに色白の肌がみてとれます。
「そうですか、そうですか、ようこそ、多良画廊へ!」
「なにかしら、素敵な雰囲気、来てよかった」
「まあ、ごゆっくり、いま、お茶を、いれますから」
どう見ても良家のお嬢さまといった感じの女性、名前はまだ明かされていないから、心浮き立つ多良健介には、あれが目的では、と直感です。

多良画廊には、日本画風や油絵風、それにオブジェや写真など、ちょっとエロチックでいかがわしい作品がコレクションされています。コレクションの一部を展示していて、ホームページで紹介しているから、それを目当てに、京都へ観光にきた折りに訪れる人が多くあるスポットなんです。
この羞恥部屋というのは、多良画廊の第二室のこと。かって画家を目指していたけれど、世に出られなかった多良健介(45才)がオーナーの多良画廊、その第二室はプレイルームなのです。
「ねぇえ、しゅうちべやのこと、なんですけれど・・・・」
「お嬢さん、羞恥部屋のことって、知ってるんですか?」
多良健介が急須に宇治茶をいれ、湯呑に注いでいる横からワンピース姿の女が、恥ずかし気に訊いてきます。
「ええ、なし子から、聞いてきたんですけど、満足させていただけるとか・・・・」
「ああ、なし子、ええ、何度か来てくれてますね、なし子からですか」
「そうなんです、なし子に聞いてきたんですけど・・・・」
「ここは、行くところがない子、が落ちつく場所、なんですかねぇ、あなたも」
白っぽいスカートがフレアになったワンピースを着た若い女が、多良健介の目の前に来ているんです。


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