1200sx1606160061
-17-
神子は多良画廊が用意した浴衣を着ています。白地に朝顔の赤い花柄の浴衣です。帯は兵児帯、まるで少女の浴衣姿のように見えます。下穿きは、薄い透けたパンティ、ブラジャーは無しです。
「栄養ドリンク、蜂蜜と、ビタミンと、すっぽん精力剤とのミックスだよ」
香苗、空腹を感じて、時間をみると午後二時半です。休憩すると言われて、かれこれ30分ほどが経ったところです。
「あとは、書棚とか、ご覧になれば、いいんじゃないですか、神子さん」
多良健介が、画廊ではなくて羞恥部屋に置いた書棚の方へ、神子を導きます。書棚には引き違いのガラス戸で閉じられているのですが、そこには、奇譚なんとかとか、風俗なんとかとか、かなり昔の雑誌が並べられています。その他にも、神子、気がついたのですが、主にSM雑誌のバックナンバーが保存されているんです。桐箱に納められているから中身がわからなかったのですが、フタをあけてみると、真赤な装丁のA4版の写真集が、神子はびっくりしてしまいます。全裸女子の恥ずかしい姿が、写されているカラー写真が一冊の豪華本になっているのです。
「そうだよ、神子さん、ここで撮られて作られた写真集ですよ」
「ああ、何ともいえない豪華な本ですね、わたし、出版社にいたから」
「価値が、わかりますか、神子さん、一冊2千ユーローです」
「限定出版、でしょうね、何冊ですか」
「50部限定、国内では、販売していません、オーストリアのグラーツで発刊です」
「でも、これは・・・・」
「そうです、これは、無修正ですから、わたしの個人所蔵ですよ」
絵画もそうですが、多良画廊の所蔵する書籍も、貴重な資料になるものばかりです。
「ところで、神子さんも、このような書籍のヒロインに、ですなぁ」
「いいえ、わたしなんか、それほどでもないですから・・・・」

栄養ドリンクだと言われて飲んだコップの液体が、効いてきたのか、神子はうずうずの元気になった感じで、大学院生アルトとの交感が待ち遠しい神子です。
「いやぁあ、みこ、おまたせ、ぼくは、うれしいよ、とっても!」
「はい、アルトさま、わたしだって、とっても、嬉しい!」
赤い朝顔花柄の浴衣に、赤い兵児帯を締めた可憐な少女が、籐で編まれた肘掛椅子に座っています。目の前、1mのところは大きな鏡になっていて、可憐な少女に見える大谷神子の椅子に座った姿が映っています。
「ええっ、これで、膝、ひろげちゃうんですかぁ」
「そうだよ、みこの膝、1mひろげ、だよ!」
長さ1.5m、太さは直径3cm、棍棒です。棍棒の両端には穴が空けられロープが通されています。その内側それぞれ20cmの処に皮のベルトが二つずつ結びつけられているのです。手枷足枷、手を1mにひろげ、足を1mにひろげ、その棍棒が吊りあげられてしまう、というんです。
「さっきはバイブだったけど、こんどは、お道具は使わない、ぼくの手だけだよ」
「そうなの、アルトさまの手だけ、ですかぁ」
「そうだね、なにか、ほかに、そうだな、バイブは使ったから、ローターとか」
「ああ、アルトさまの、なまの、ものが、わたし、ああ、ほしい・・・・」
「そうですか、それは、みこの要求、オプションだよね」
「はぁああ、わたし、しあわせに、なりたい、赤ちゃんでけても、いいの」
1.5mの棍棒を見ている神子のお顔が、もうほんのりと赤みを帯びていて、弄られるのを待っているとでもいった感じに見えます。鏡の向こうは画廊の空間、壁面がスライドで開かれ、大きなガラス窓ですが、羞恥部屋の出来事が、目の前に見える仕組みです。三人の常連客の名前は、緑川氏、大竹氏、楢原氏、いずれも40代後半の男性で、会社の経営者です。この三人が丸椅子に座って、ガラス窓にかぶりついておられるのです。